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糀をみらいの食卓へ

日本独特の文化である『糀』。
自分の子供達に、孫達に、そしてずっとその先へも、糀の文化が届くように、今私たちに出来ることを行っていきたいと思います。

一.醤油屋として、糀文化の保存・伝承を行います。
二.子を持つ親として、糀文化をみらいに伝えます。
三.能登人として、地元の食材を活かした商品作りを行います。

もろみづくりの再開

もろみづくり

わたしたち夫婦がなぜ、今この時代に昔ながらの醤油づくりを再生させたのかを、ここで少しお話ししたいと思います。

昔ながらの醤油づくりというのは、大豆を蒸して、小麦を炒って、糀をつくる。そこに塩水を加えてもろみをつくり、木桶で熟成させるというもの。
”もろみづくり”は手間・時間・経験が必要です。もろみひとつで、醤油の味がかわっていしまうほど。
それぐらい醤油づくりには、”もろみづくり”の工程が大変重要なのです。

もろみづくり

でも、みなさんのイメージに反して、現在、もろみを仕込む工程をしている醤油屋さんは、決して多くはありません。
多くの醤油屋さんは、もろみを搾った生醤油を協業組合や、大手メーカーから購入し、自社で味を調え、瓶詰めするという形をとっています。
谷川醸造もそのひとつです。

谷川醸造は15年前(平成7年)まで一部ではありますが、もろみづくりを自社で行っていました。
しかし、諸事情により急にできなくなりました・・。

もろみづくり

大げさかもしれませんが、このままだと昔から伝わってきている糀文化が、どんどんなくなっていってしまう気がしました。日本の食文化を守る!などとおこがましいことは言いませんが、田舎の小さな醤油屋だからこそできるモノづくりをしていきたいと考えるようになりました。
そのような思いから、平成23年より一部ではありますが、昔ながらの醤油づくりを再びはじめました。その原材料には国産丸大豆を使っています。現在、国産丸大豆を使った醤油の生産量はとても少ないのです。そのうえ木桶で仕込む醤油になるとなおさら少なくなります。時代とともに、醤油の製造方法も少しずつ変わってきているのですね。

もろみづくりから見えたもの

もろみづくり

もろみづくりを再開させたことにより、色々なことが可能になりました。

まず、原材料の仕入れから行えるようになりました。
それは、地元・能登産の特色ある原材料(大豆や塩など)を使えるということ。
能登には、かつて“幻の大豆”と呼ばれた珠洲特産の※1「大浜大豆」という地大豆があります。
わたしたちは、もろみづくりを復活させたことにより、この「大浜大豆」、珠洲の塩を原材料にした醤油をつくることが可能になりました。

もろみづくり

また、※2【まるやま組】の活動にも参加しています。
耕作放棄地や畔を利用した大豆は、栽培や収穫に関わっている地元の小学生や福祉施設の方に、醤油や味噌づくりを体験してもらいます。
これももろみづくりの技術をもっているからこそ、できること。

もろみづくりを通して、地元の農産物を使い、地域と関わり、そしてそれらを後世に残していくことが、わたしたちの今できることだと感じています。

もろみづくり

糀の食文化を、少しでもみなさんの身近に感じてもらえるよう、今後も色々な形で伝えていきたいと思います。
工場見学も随時行っているので、輪島に来た際はぜひあそびに来て下さい。お待ちしております。

※1 「大浜大豆」は、珠洲市三崎町寺家の大浜地区で栽培されていたことから名づけられ、昭和四十年ごろまでは外浦一帯で栽培されていました。しかし収穫時期が遅く、当時奥能登では冬に出稼ぎに出る人が多い為、人出が足らないなどの理由から早生の奨励品種である”エンレイ種”などに押され、次第に姿を消していったと言われています。しかし、近年栽培を再開し、現在奥能登の地域ブランドとして生産が進められています。

※2 まるやま組についてはこちらをご覧下さい。