vol.2

1_リニューアルして変わったこと – 酒ブティックおくだ

2023.05.29.

第2回目のゲストは、輪島で酒屋【酒ブティックおくだ】を夫婦で営んでいる奥田圭三(けいぞう)さんと綾里(あやり)さんです。昔から家族ぐるみで仲良くさせていただいているのですが、改めて話をしてみると実は知らないことがたくさんありました。お店のこと、仕事のこと、2人のことなど普段は聞けないお話しをお聞きしました。今回は、全3回でお送りします。


およね
今日はよろしくお願いします。
圭三・綾里
よろしくお願いします。
およね
私たちは、元々、私の旦那と圭三くんが同級生で仲が良かったんだよね。
圭三
そうそう。
あとは商売上でも繋がってたしね。前は谷川家も「菊天女」っていうお酒を作ってたし、親の代からの付き合いになるね。
左から【酒ブティックおくだ】の綾里さんと圭三さん

2019年に【酒ブティックおくだ】は店内を大幅にリニューアル。輪島の木材や和紙を使用した明るい店構えに生まれ変わりました。若い客層や、市外からのお客さまも増えたそうです。

リニューアル後の店内
地元のお酒はもちろん、多種多様な商品が並んでいます
およね
改装のきっかけはなんだったの?
圭三
ずっと前から改装しようかみたいな話はあって。誰にお願いしようかなと思っていた時に、輪島のフットサルクラブで建築家の萩野紀一郎さん(※)に出会ってそこから相談してっていう流れかな。
(※)東京から移住してきた建築家。輪島に萩野アトリエを持つ
およね
お店のイメージ、だいぶ変わったよね。
圭三
そうだね、変わったね。
およね
綾里ちゃんは前の建物の時はもう輪島に住んでいた?
綾里
いたよ。バブルチックな…
およね
トレンディドラマにでてくるようなね(笑)この建物自体は何年にできたの?
圭三
平成元年だから、35年位前だね。それでまた、令和元年に内装だけリニューアルした。
外観は当時のまま、内観を大幅リニューアル
およね
改装する時のこだわりはあった?
圭三
萩野さんには「木の温もりが感じられるようなナチュラルな感じに」っていうことと、「ワインセラー室を作りたい」っていう2つだけお願いしたかな。
綾里
あとは試飲テーブルの設置だよね。試飲会ができるように。
圭三
そうそう。
お客さんにお酒のことをもっと知ってもらえたらと思って。あとは完全にお任せ。全体的に親しみやすい店内に生まれ変わったと思う。
2mの大型黒板が店内6か所に
およね
改装して変わったことはあった?
圭三
若い子が来るようになったね。
前の店はオープンな感じがなく、入りづらかったと思う。
およね
あとはインスタとか、情報発信にも力を入れ始めたよね。
圭三
そうそう。
およね
そういうのもあって、若い子たちが酒屋さんでお酒を買おうっていう流れが出てきたのかな。
圭三
俺らが若い時って、個人の酒屋さんって入りにくかったよね?
およね
入れなかったー!綾里ちゃんはどうだった?
綾里
酒屋で買ったことない(笑)
およね
観光地に行って、そこの酒蔵へ行って買うのはあったけど。旅行に来て、“まちの酒屋さん”へ行くっていうのは珍しいよね。みんなお土産で買って行くの?
圭三
お土産もあれば、宿に泊まる時に飲む酒を買う人もいるよ。
およね
なるほどねー。

酒造技能士や唎酒師の資格を持つ圭三さん。能登の地酒はもちろん、珍しい全国の地酒やワインなど、実際に呑んで旨いと確信したお酒をこだわって仕入れています。

およね
仕入れるお酒のこだわりってあったりする?
圭三
地酒だと、能登地酒と全国の地酒が5:5くらいになるような品揃えを意識しているね。能登地酒で行きたい気持ちもあるけど、地元の人にとってみたら他県のお酒も飲みたいだろうし。県外酒は、こだわって奥能登にないようなお酒を入れている。
能登地酒を豊富に取り揃える
およね
例えばどんなお酒?
圭三
秋田のお酒は、石川のお酒にはあまり無いタイプだね。すごく香りがフルーティで華やかな感じ。石川のお酒はどちらかというと基本的に濃いめっていうか。能登はどちらかといったら味しっかりめのお酒が多い。
およね
たしかに能登ってフルーティなイメージないもん(笑)海とか、山とか、荒々しい感じ。能登らしいお酒のイメージってあるよね。あと、焼酎の種類も多いね。輪島の人は焼酎飲む?

 

圭三
多くはないかな。
綾里
でも毎回この焼酎!って決まっている人はいるよね。あと意外とギフト需要もあるよね。退職祝いとか。普段焼酎飲む人にちょっとプレゼントしたいんだけど、とか。

店のこだわりの一つが、新設した奥能登初のワインセラー。気温16〜18℃に保たれた室内に、フランス、チリ、スペイン、イタリアなど約70種類のワインが並びます。設置を機に、圭三さんはワインソムリエの資格も取得しています。

店内奥にあるワインセラー室
およね
何でワインセラーを作ろうと思ったの?
圭三
輪島ってワインの専門店がないから、ワインに特化したらいいかなっていう思いはあって。ちょうどインポーター(※)さんからもワインの美味しさを保つために室温管理が契約の条件って言われたりして。じゃあ俺らもしっかり品質管理しながらやっていこうかと。(※)ワインの輸入業者
およね
個人の酒屋さんでワインセラーは珍しいよね。
圭三
まだまだ少ない方だと思う。
およね
仕入れるワインのこだわりは?
圭三
今は自然派ワインに力を入れている。交流のあったシェフから、最近の自然派ワインは美味しくなったし力を入れてみたら?と提案されて。
およね
自然派ワインってどんなワインのこと?
圭三
無農薬、もしくは有機栽培のぶどうしか使わない。あとは自然の酵母を使用して発酵させるとか、色々定義はある。
およね
ワインで無農薬って結構難しい気がするけど、外国だと多いのかな。
圭三
そうだね、確かにこっちではあまり聞かないかもね。ひとまず東京の自然派ワインの試飲会に行ってみたら、今まで飲んだことのない味わいと、優しい酔い心地を感じて自分のお店のお客さんにもおすすめしたいなと思って。すぐにその場でインポーターさんに直談判して、取り扱いさせてもらえることになった。
実は結構前から、綾里は自然派ワインが気になっていて。軽くて飲みやすいのと、個性的なラベルも多いから、女性のお客さんに喜んでもらえるかも、とは思っていて。
自然派ワイン「デスピナ」(イタリア産)洋ナシや青リンゴなどトロピカルな微発泡のワイン
自然派ワイン「アナトリーノ」(イタリア産)余韻がほんのりスパイシーでドライ
およね
パッと見、イタリア産が多い気がするけど…
圭三
契約したインポーターさんが2社ともイタリアの自然派ワインばかり扱うところだったから自然とそうなった感じ。イタリアはぶどうの種類もすごく多い。フランスの方がある程度ぶどうの種類も決まっていたりする。
およね
国によっても差があるんだね~


 

谷川千穂
(愛称:およね)

金沢から輪島に嫁いだ谷川醸造4代目の嫁。広報の仕事がメイン。

奥田圭三・綾里

1930年創業の酒ブティックおくだを継ぐ4代目夫婦。選りすぐりの酒を国内外から仕入れ、情報発信にも力を入れる。

writer&進行:堂下真紀子 photographer:松田咲香


店舗詳細

酒ブティックおくだ

石川県輪島市鳳至町畠田3-65
☎︎0768-22-0153
[営]9:00~19:00
[定]水曜

http://www.sakeboutique-okuda.com/

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