およねが行く
vol.2
谷川千穂
3_輪島の魅力とこれからのこと、オススメのお酒- 酒ブティックおくだ
2023.06.29.
第2回目のゲストは、輪島で酒屋【酒ブティックおくだ】を夫婦で営んでいる奥田圭三(けいぞう)さんと綾里(あやり)さんです。昔から家族ぐるみで仲良くさせていただいているのですが、改めて話をしてみると実は知らないことがたくさんありました。お店のこと、仕事のこと、2人のことなど普段は聞けないお話しをお聞きしました。今回は、全3回でお送りします。
夫婦で店を継いで5年。街の酒屋さんとしての思いや、これからの展望を聞きました。
- およね
- これからどんなお店にしていきたい?
- 綾里
- 最初の頃は特になかったけど、去年「TANOMOSHIプログラム」(※1)で「お酒の力で人を呼び込む」というコンセプトに行き着いて。
- 圭三
- それを店のモットーにしていこうかなって。
そしたら知り合いの経営者さんから「観光業に入るくらいのイメージなのかもね」と言われて。自分たちは地域貢献しようとか思っていたわけじゃないけど、商売をやっていたら自然とそこにたどり着くんだろうなと思う。
- およね
- 観光客をもっと呼び込みたいってこと?
- 圭三
- 輪島はこの先どうしても人口が増えないことを見越せば、そこもターゲットにしていきたい。最近は市外からも買いに来てくれるお客さんも増えたしね。
- およね
- 私も、交流人口を増やしていけばいいと思う。
- 圭三
- そうすれば経済も回るし、輪島でみんなが商売を続けていける。
うちら酒屋は面白そうな酒を揃えて、それを目的に来てもらって。
一番の目的じゃなくても「せっかくだから輪島来たら寄ろう」みたいな感じで寄ってくれれば。パン屋とか海産物屋とか、個人商店を巡るルートもできたらいいよね。
- およね
- 人に会いに行く、みたいなことだよね。だから2人もどんどん前に出て行けばいいんじゃないかな。
- 圭三
- 恥ずかしいからあまり出たくはないよね。綾里は出ればいいと思う。
- およね
- えー!ひとりで出るよりも、夫婦で出た方がいいと思うよ。自然体のありのままでいいんじゃないかな。
- およね
- あとこれは毎回聞こうかなと思っていて。輪島のここいいなと思うところってある?
- 綾里
- 輪島のいいところって、やっぱり人なんじゃないかな。個人商店というか、パンを買いに行くってだけじゃなくて、(ラポールデュパンの)鹿島さんに会いに行くとか、そんな輪島の一部になりたいなっていうのはある。
- およね
- 確かにね、それは私も思う。距離感が近いよね。よくも悪くも(笑)
- 綾里
- 朝市なんか特にそうだよね。どこで買っても美味しいけど、今日はここのおばちゃんから買おうとか。そういう人付き合いは金沢にいた時にはなかったなと思う。
- 圭三
- 俺は、若い時はこんな田舎にずっといたくないと思っていた。
でも、若い時は分からなかったけど、食に関しては本当に魅力的な場所だと思う。
輪島は美味しいものと美味しいお酒があるからもっと色々できそうだなって。
県外から移住してきた料理人さんが、「ここの食材が良いから飲食店始めて楽しい」とか言うのを聞くと、もっと掘り下げたら、もっとすごいことができるんじゃないかって。みんなで底上げしていけたらいいなーと思う。
- およね
- 食のポテンシャルは高いと思う。
近くに美味しいお店がたくさんあって、それがリーズナブルに食べられるって贅沢なことだよね。
- 圭三
- どんどん少子高齢化になっていくけど、頑張ればまだまだいけると思う。
- およね
- これからやりたいことは?
- 圭三
- 日本酒バーをやりたいなと思っていて。
朝市へ行った観光客が、そのあと手持ち無沙汰にふらふら歩いている光景をよく見かけてね。この辺りの大体の居酒屋が早くても17時半とかにしか開かないから。今すぐには難しいけど、実現できれば。
- およね
- 確かに、昼からお酒を飲めるところは少ないよね。
- 圭三
- 例えば15時に宿にチェックインして、そのあと飲みに行くまでの間、どうしようかってなった時に軽く飲んで居酒屋に行くパターンがあればいいなって。
- 綾里
- 朝市通りは午後になるとほとんどのお店が閉まるから、そこを歩いている観光客を見ると何となく申し訳なくて(笑)
- 圭三
- 観光客のおもてなしプラス、能登地酒をそこで広めたい。
- およね
- 実現が楽しみだね。お互い頑張ろうね。
2人とも今日はありがとう!
- 綾里
- こちらこそ!
- 圭三
- またこれからもよろしく~
※1 TANOMOSHIプログラム‥‥七尾市のまちづくり会社「御祓川(みそぎがわ)」と能登町の興能信用金庫がタッグを組んで「休眠預金」を活用した地元企業の支援体制を整える取り組み。
オススメの能登地酒
圭三さんのオススメはこちら!
○生酛純米 奥能登(数馬酒造株式会社)
米・水・酵母すべてが能登産、オール能登の純米酒。世界的ワインの大会の酒部門で金賞を受賞するなど国内外からも評価の高いお酒です。観光客にも人気。
○宗玄 生酛純米 無濾過生原酒(宗玄酒造株式会社)
創業以来初の生酛造りのお酒。濃厚な米の旨味&甘みと後口の力強い酸味が特徴だそう。圭三さんは宗玄の名杜氏、家修さんが造るお酒が好きだそうです。
綾里さんのオススメはこちら!
○能登誉 しろなまざけ(清水酒造店)
冬〜春限定の活性にごり酒。とろりとした飲み口で甘くて飲みやすく、毎年待ち望んでるファンも多いとか。アルコール14度と低めなのでお酒が弱い人にもオススメ。
○奥能登の白菊 特別純米酒(白藤酒造店)
酒ブティックおくだの一番の売れ筋。ANAの国際線ファーストクラスにも採用されたお酒で、マイルドで優しい口当たり。飲みやすく女性にも人気です。
谷川千穂
(愛称:およね)
金沢から輪島に嫁いだ谷川醸造4代目の嫁。広報の仕事がメイン。
奥田圭三・綾里
1930年創業の酒ブティックおくだを継ぐ4代目夫婦。選りすぐりの酒を国内外から仕入れ、情報発信にも力を入れる。
writer&進行:堂下真紀子 photographer:松田咲香